二分脊椎とは赤ちゃんのお尻の上のあたりにふくらみ(髄膜瘤)があり、下半身の神経麻痺(歩行障害や膀胱直腸障害)が起こる先天異常です。日本ではこの数年間、発生頻度が徐々に増加しており、2003年度の日本産婦人科医会の調査では約1800出生に1人の頻度で見られます。

お母さんのおなかの中で赤ちゃんが出来るとすぐに、脳・背髄が形成されます。脳・背髄はまず、胎児の背中の真中が窪み、窪んだ部分から神経細胞が出来て、どんどん増え、筒状の神経原基ができます。これを神経管といいます。次に神経管の背中の開いている所が頭の方から閉じて行くのですが、これが閉じきらないまま、発生が進むと二分脊椎になります。つまり、背髄の一番下の部分が開いたままで、その周りを囲む背骨(腰椎)も割れています。

この先天異常は葉酸を1日に0.4 mg 摂取することによって、その発生を半分以下に減らせることが分かっています。神経管の閉鎖は胎生(妊娠後)7週目に起こるので、妊娠が分かった時から葉酸を摂るのでは遅いのです。ですから妊娠を予定されている女性は葉酸を摂るようにしましょう。

葉酸はその名前の通り、野菜に含まれるビタミンBの仲間です。葉酸 0.4 mg というと野菜 350 g に相当します。葉酸は熱に弱いので野菜を煮たり炒めたりすると葉酸が壊れてしまいますので生野菜として食べます。妊娠可能年齢の日本女性の平均葉酸摂取量は1日 0.3 mg なので、普段よりも少し多く野菜を摂られる事をお勧めします。それが難しい場合は簡単にビタミンが摂れるサプリメントもあります。

この件に関する厚生労働省の報告書はこちらにあります。http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1212/h1228-1_18.html