12歳以上の新型コロナワクチン接種について

       

ファイザー社製新型コロナウイルスワクチン、コミナティの接種を考えておられる12歳以上の方たちと保護者の皆様へ

神戸市小児科医会 佐野公彦

 世界中で流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19:コウヴィッドゥナインティーンと読みます)の終息にはワクチンの普及が重要であることは間違いありません。日本で現在、高齢者を中心に接種が進められているコミナティは、令和3年6月1日から12歳以上に適応が拡大されました。ファイザー社による臨床試験では変異株ウイルスに対しても高い有効性が示されていますので厚労省では12歳から15歳の若年者も新型コロナワクチン接種の対象としました。この文書は接種券が届いた若い方々にワクチンを受けるかどうかを考えて頂く上で参考にしていただくために書きました。是非、最後までお読みください。

 ワクチン接種の意義は二つあります。個人防衛と社会防衛です。

「個人防衛」とはワクチンを受けた方ご自身の感染予防・重症化予防を目的として接種するもので、COVID-19の場合には重症化率の高いご高齢の方、基礎疾患をお持ちの方が該当します。若い方でも基礎疾患をお持ちの方は接種の必要性について主治医とよく相談してください。

 最近では20歳代、30歳代の感染者も多く報告されています。頻度は低いですが若年者のCOVID-19感染症に続発する重篤な全身性炎症性症候群が報告されています。これまでの日本人感染者の解析では若く健康な方がCOVID-19に感染しても重症になる方はごく少数です。ですので、若い方の接種目的は個人防衛よりも、社会で多くの人がワクチンを受けて集団免疫を獲得し、COVID-19の流行を収束させるための「社会防衛」が主となります。知らないうちにCOVID-19に感染して本人は無症状で周囲にうつすという事を防げます。

 また家族や親しい人に重症化リスクをお持ちの方がおられる場合は家庭などにウイルスも持ち込まないために接種する(家庭防衛・コミュニティ防衛)意義はあるし、本人にもCOVID-19に対する免疫をつけて、万が一感染して入院が必要になったり、社会・学校活動に制限を受けることを防ぐことができます。受験生の方は受験シーズンの自分の感染が心配かもしれません。また、感染者本人は軽症でもCOVID-19と診断されれば、家族や友人が濃厚接触者と判断されたら学校や会社に行けなくなる可能性があります。

 現在、イスラエルなどではワクチン未接種世代の10代の子供たちのCOVID-19(デルタ株)が増えていますので、日本でも近いうちに同様の流行が起こるかもしれません。

 コミナティの安全性、副反応については、どうでしょうか。これまでに世界で延べ3億回以上接種されていますが、重篤な副反応は報告されていません。コミナティに含まれているポリエチレングリコール(化粧品に使われています)に対するアレルギー反応は圧倒的に女性に多いのですが、殆どの方は自然に回復しています。注射したところが腫れたり、痛かったり、熱が出たりという短期的な副反応は若い方程多く、1~2日間生活が制限される程の副反応が出た方は若い方では3人に1人と報告されています。最近、稀ではありますが若い男性にワクチンを接種した後に心筋炎の発生が報告されていますが自然回復されています。このワクチンに関して不妊などの根拠のない副反応の噂が出ていますが、科学的に否定されています。コミナティはまだ臨床試験が終了しておらず長期的な有効性・安全性については不明な点がありますが、現時点では安全なワクチンと認識されています。

 新型コロナワクチンは法律上、「臨時接種」に位置付けられ、対象者には接種の「努力義務」がありますが、接種するかどうかは対象者の判断に委ねられています。決して接種する事、あるいはしない事を強制されるものではありませんし、接種しない事を選んだ方が差別や不利益な扱いを受けるような事があってはいけません。

 皆さんがよく考えた上で接種する、しないを決めて頂きたいと思います。もし、不安であれば相談にのっていただける、かかりつけ医に相談しましょう。